2009年6月30日火曜日

狙って打つ(1673)



不安な気持ちに襲われたときには、ボールを打つということに集中できずに、回りのことが気にあって、集中力を乱してミスする確率を上げてしまうものです。

そのような事態を打開するには、ちょっと前に挙げたような対処法を実践することは効果ありますが、何よりも日ごろからの訓練が大切です。

特に、ボールに対する集中力を高めるために、「狙って打つ」意識を高く持って練習することが効果的です。

単に的を狙って打つ練習をおこなうのではなく、

「このボールを絶対にあそこに打つ」

と強く心に決めて、1球1球高い意識を持って練習に取り組むことです。

例えば10分間の練習であれば、10分間はがむしゃらに打ち込むことがとても重要で、途中で1回たりとも気を抜いてはいけません。

自分が本当に集中できる時間を知り、それを延ばしていけばよいと思います。

「集中力の持続」が何よりも重要です。

「思いの強さ」が弱い選手は、必ず途中で集中力を欠いてしまいます。

自分は「絶対ここを狙って打つ」という「思い」をどれだけ強く、長く持つことができるかが、実際の場面での成功につながります。


人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!

2009年6月29日月曜日

身体表現(1672)



自分が弱気になったり、恐怖や不安の気持ちが生じたときに、それらのマイナスの感情に立ち向かって、より良い動きやより良いこころの状態を作り出すために、身体を使ってさまざまな表現をすることがあります。

具体的には、
・ 声を出す
・ 動き(足を動かす、肩を回す、首を回す)
・ 動作(足をたたくなど)
・ 構え
・ 目つき(表情)
・ 大きく深呼吸する

などの「身体表現」を行うことでこころの状態を最適に保つことができます。

人間の精神活動は身体活動と強い結びつきがあります。

自分の気持ちがリラックスできる行動や身体表現を行うことでメンタルの状態は変化し、最適な状態へと導くことができるのです。

特に呼吸と精神の状態との結びつきは大変高いことがわかっています。

古来、武道の稽古のひとつに呼吸法の訓練があったことからも理解できます。

あるボールゲームの試合中の呼吸数を調べると、ゲーム前、呼吸数はゆったりと大きく安定しています。

しかし、失点時には短く速くなって、リズムが乱れています。

明らかに精神的に動揺していることが読み取れます。

得点したときには、失点したときとは逆に深く安定した呼吸を示しています。

また、興味を引くのは、失点時のグラフを見ると、失点する前の呼吸も乱れているということです。

失点したから呼吸が乱れたのではなく、呼吸が乱れたから失点したとも考えられるのです。

スポーツの試合では、大きな緊張や不安、怒りなどの感情が起こります。

そのようなときに簡単に呼吸が乱れるようでは、失点する確率は大きくなります。

毎日の生活の中で呼吸をゆったりと大きく行うことを心がけて、呼吸の能力を高めておくことはもちろん大切です。

そして、試合中にマイナスの感情が起きたとき、「深呼吸」を行うことで呼吸の乱れをおさえ、こころ状態を最適にできれば失点の可能性は低くなります。


人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!

2009年6月28日日曜日

ブログ(1671)



8時間の運転と4時間の講習の怒涛の一日を終え、今ほっと一息ついています。

今日の講習では、何人かの人に「ブログ読んでますよ」と言われました。

多くの方が私のブログを読んでいるのかと思うと、いい加減なことは書けないという責任感のようなものが湧いてきます。

ブログは、個人が自由な発想で好きなことを書くことが基本だとは思いますが、私は違います。

自分の伝えたいことをまとめているという意識が強いですね。

いつも多くのことを子どもたちに話します。

でも、そのほとんどは忘れてしまいます。

「前に言っただろう!」とは思いますが、それは指導者のエゴだということも書きました。

だから忍耐強く伝えていかなくてはなりません。

その手段のひとつがブログだということです。

毎日アップすることを心掛けて1年半以上が経ちました。

毎日更新できずに、2、3日文をまとめてアップすることもありますが、基本的には毎日更新します。

同じようなことを書くことも多いです。

それは、伝えなくてはならないことは、何度も伝えなくてはならないからです。

今日のプリンスの講習では25名くらいのジュニア選手たちとその親御さんたちが私の話を聞いてくれました。

夜のコーチセミナーでは20名以上のコーチが受講してくれました。

熱意を持って伝えたつもりです。

でも、伝えきれないことはたくさんあったと思います。

そんな思いをブログを通して伝えていけたらいいなと思います。


人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!

2009年6月27日土曜日

スタイル(1670)



梅雨入りし、本格的な夏の到来を思わせる暑さの中、この6月は大変な忙しさでした。

6月から名古屋国際中高テニス部の指導が始まりました。

思いもかけず、もうひとつのクラブの運営を任されることになりました。

ひとつが立ち上がったばかりで、まだ運営の整理ができていないのに、もうひとつが立ちあがったのでスケジュール管理などは本当に大変です。

3、4日はほとんど寝ずに管理表を作りました。

ホームページも作りなおしました。

実際には来月から本格的に稼働するので、今も毎日頭の中でシュミレーションしています。

それに全日本ジュニアの愛知県予選、東海総体、国体予選、など重要な試合が目白押しです。

夏の大会のドロー会議も毎週のように行われます。

この夏に新しく寮生になる選手のために、学校との打ち合わせもあります。

夏の合宿やキャンプの案内、準備が始まります。

今年は2つのキャンプに、2つの合宿を行うので、その手配や準備は例年以上に大変です。

インターハイや全日本の遠征の準備もしなければなりません。

今年から全中が名古屋開催ではなく、熊本で開催されるので、その航空券や宿泊の手配も必要です。

もちろん、夏に行う「ヤングスターカップ」の要項を作成し、準備に入ります(まだ出来ていませんが、もうすぐ作りますのでもうちょっとお待ちください)。

大学の講義は佳境に入り、休むわけにはいきません。

愛工大名電高校の夏の大会に向けたトレーニングは激しさを増しています。

昨日は、千葉県から来た選手のトレーニング指導をしました。

これだけではありません。

明日は、昭和の森で行われるプリンスのセミナーに講師として出かけます。

車での日帰りです。

その日の夜にはもうひとつのコーチセミナーの講師も務めます。

寮の管理は当然のようにあります。

大学進学のために練習への参加を打診し、調整します。

お世話になる先生方に連絡し、日程を調整し、生徒を連れていきます。

そして、来週には1回目の合宿が始まります。

今までの自分の人生の中で、もっとも忙しいと感じています。

まさに「忙殺」です。

「そんなに引き受けるからいけないのだ」という指摘は分かりますが、これが私の「スタイル」です。

とにかくやれることは全部やる。

その中で選択する知恵を身につける、そういう考えです。

「もっとテニスの指導に集中しろ」という考えもあります。

でも、コーチにとって、ネットワークの広さは武器になります。

不可能であればあきらめます。

でも、少しでもやれると思うのであれば、まずは行動することです。

そのことでバランスが崩れて非難されたこともあります。

信用を失ったこともあります。

しかし、動いてきたからこそ見えてきたことはたくさんあります。

それが私の財産です。

年齢を重ね、動ける範囲は狭くなっていくのかもしれませんが、それでも自分でできると思ったことはすべてやりきる覚悟を持って進む、その「スタイル」だけは変えないで行こうと思います。


人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!

2009年6月26日金曜日

お守り(1669)



テニスの科学(87)

その② お守りを身に付ける

よくマラソンランナーが、腰のところにお守りを縫い付けて走る姿を見ることがあります。

人間は弱いものです。

自分ひとりで戦ってはいても、どこか「すがる気持ち」があるものです。

高橋尚子選手のように、大変自己がしっかりしていて、挑戦的で、自信に満ち溢れているように見える選手でもこころのどこかに弱い部分をもっているのです。

しかし、試合中にアドバイスをもらうことも、激励してもらうこともできないのがテニスです。

そんなときに、自分が安心感を得ることができるようなアイテムを持っていることで、こころの状態を良い方向に導くことができます。

お守りはそんなアイテムのひとつです。

「そんな弱気な姿勢で本当に戦えるのか。」

といわれるかもしれませんが、所詮人間は大変弱い存在で、ほかの人との関わりの中でしか生きられないことを知っていれば、そのようなアイテムを積極的に活用することも大切な戦術であると考えます。

お守り以外にも、彼からもらった指輪をバッグの中に入れて置くとか、願をかけたカラフルな紐を手首や足首に結び付けておくことも同様の効果が期待できます。


人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!

2009年6月25日木曜日

怖くなったらどうするか(1668)



テニスの科学(86)

試合では誰でも緊張します。

世界で活躍する選手も例外ではありません。

ある年のウィンブルドンで、イヴァニセビッチがマッチポイントで緊張のあまりダブルフォールトを犯したのを記憶しています。

ウィンブルドンでベスト8にはいった松岡修造も、ベスト8入りをかけた試合で、マッチポイントのときは怖くて逃げ出したいほどであったと述べています。

誰もが恐怖と戦っているのです。

しかし、強い選手はそういう場面で、自分なりの対処法を行うことで、恐怖の気持ちができるだけプレーに影響しないように懸命に努力していることを忘れないでください。

次に挙げる対処法の中には、あなたにぴったりの方法があるかもしれません。

一度試してみてください。

その① キーワード

自分が苦しい状況に追い込まれたときに、自分自身を奮い立たせることができたり、心が落ち着くことができるような言葉を繰り返し思い浮かべたり、実際に口に出したりすることで、混乱を避けていつもどおりのプレーができるようにこころの状態を整えることができます。

このような言葉を「キーワード」といいます。

松岡修造選手が、ベスト8入りをかけた試合でのマッチポイントで

「この1球は絶対無二の1球なり!」

と叫んだことは有名です。

彼はこの言葉を叫ぶことで、逃げ出したい気持ちを切り替えて、立ち向かっていく勇気が持てたと述べています。

私が指導する子供たちは、

・ いま自分ができることに目を向けろ
・ 相手に向かえ、攻めろ
・ 自分を信じて、思い切り良く打て

などの「キーワード」を挙げてくれました。

どの「キーワード」も良いこころの状態を作り出すためには有効な言葉であると思います。

ただし、このような言葉は自分自身で探し出さなくてはいけません。

自分の心に響く言葉を捜すことは難しいかもしれませんが、それを見つけたときに「弱気な自分に別れを告げる」ことができるのです。

(※キーワード) 良いときの動きを思い出せるように、良いときの動きと簡単な言葉を組み合わせておき、混乱しているときやうまくいかなくなっているときに、その言葉を繰り返す暗示技法。


人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!

2009年6月24日水曜日

チャンスはピンチ(1667)



テニスの科学(85)

特に「勝ちを意識」してペースを乱すことは大変良くあります。

そして、一気に相手のペースになり、簡単に逆転負けを許してしまうのです。

ポイントを失うとあせったり、動揺して、不安や恐怖は増大することは分かっています。

また、リードされていたり、ピンチのときも、あせったり、びびったり、マイナスの感情が起きたりします。

しかし、マッチポイントでも同じような気持ちになり、自分のテニスを見失ってそのポイントを奪われ、悔しい逆転負けをしてしまうことは大変多いものです。

なぜ、チャンスでビビルのか?

子供たちに試合後に感想を聞いてみると、 意外とリードされているときにビビルことは少ないと言います。

なぜ、チャンスでビビって緊張してしまうのでしょうか。

・ 気持ちが引く
・ 錯覚する
・ 悪いイメージを持つ

ことによって、ボールを打つことが怖くなるからです。

チャンスボールと同じように、ターニングポイントという言葉が良く使われます。

4-1のようなゲームカウントでターニングポイントがあることが多いと経験的に言われ、チャンスなのに弱気な攻めでポイントを失って相手に流れがいってしまいます。

強い選手は、ポイントがほしいときに攻撃しますが、弱い選手は、守ります。

もっとも怖いのは、負けることではなく、“惨めな負け方”をすることだということを自覚して戦うことで強くなっていきます(スポーツ心理学の世界より)。


人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!

2009年6月23日火曜日

間をおく(1666)



テニスの科学(84)

リズムやテンポが乱されると、人間は大変不快な感じをもちます。

また、こころの状態が乱されると、リズムやテンポが乱されます。

どう乱れるケースが多いのかというと、まずほとんどの場合はテンポが速くなります。

これはどうしてでしょうか。

自分のリズムを乱されると人間は不快感を持ちますが、できるだけそのような不快な状態から抜け出したいために、行動が早くなるのです。

ポイントを失ったときには、不安や恐怖は増大します。

その状況から早く抜け出したい気持ちが強くなればなるほど行動は早くなります。

相手のガッツポーズなどや冷静な集中力を感じると、その不安や恐怖はさらに深まります。

そのことで、自分のリズムやテンポを乱していくのですが、感情のほうが強いのでその時点での冷静な判断は狂っています。

客観的にみて行動がすごく早くなっている場合には、あせっているとか、混乱しているというふうに表現します。

そういうときには、どのように対処したら良いでしょうか。

最も良い方法は、「間をおく」ことです。

その時点では、冷静な判断が狂っています。

その気持ちを整理できないでプレーに入ると、全ての行動のリズムを崩して、再びおなじような失点を繰り返すと、もうパニックになって、プレーを継続することは難しくなります。

「間をおく」ことによって、心の状態に目を向けることに気づくチャンスは多くなります。

また、相手の集中力の持続を阻止する効果も期待できます。

相手もメンタル的にタフな選手でなければ、ポイントを取ったことで高揚しているだけで、早く次のポイントをとってしまいたいという焦りを持つような選手であれば、「間をおく」ことの効果は大変高いものになります。

しかし、ここで注意しなければいけないのは、「間をおく」ことは、あくまでも自分のためにするということです。

よく、相手をじらすように間をとる場面を見かけますが、相手の行動に左右されていては本当のメンタルタフネスを手に入れることはできません。

あくまでの、自分ために、自分がメンタルを最適の状態にするための工夫を全力で行うことが大切です。

心の状態を最高にするのではありません。

最適な状態とは、興奮するのでもなく、冷めているのでもなく、中庸といって、ちょうどバランスの良い状態を作り出すための工夫をすることが大切です。

そのためにも、自分が最も心地よく行うことができる行動のリズムをつかんで、そのリズムやテンポを変えないで試合に臨むように訓練することは良い選手の条件になります。

こころの状態が最適であれば、相手の隙を見つけて、自分の得意なショットを打ち込む機会は増えます。

相手は、そのことにプレッシャーを受けて、同じように打っているように思っても自分のリズムが崩されて、うまくショットが返せなくなってしまうのです。

自分のペースで試合を行うためには、このようにボールを打ち合うことにだけ目を向けるのではなく、試合全体、試合中全ての自分の行動を、自分がもっとも最適な状態で戦える状態を作るために行うことが、すなわち自分のペースを守ることなのです。



人気blogランキング参加中。読み終わったらクリックお願いします!!