2010年3月22日月曜日

忍耐力のない奴は強くなれない(1937)



もっとも大切な法則、それは、「忍耐力のない奴は強くなれない」である。

テニスというスポーツは、プロスポーツとしては大変市場の狭いスポーツである。

ゴルフであれば、日本ツアー、アメリカツアー、ヨーロッパツアーなど、あるまとまったエリアでプロスポーツとして成り立っていて、多くのプロがそれで「食って」いる。

野球にしてもしかりである。

しかし、テニスは「ワールドツアー」しか存在しない。

そして、そのツアーでトップ100しか「食えない」という狭き市場なのである。

当然、そこに行き着き、生活をプロとして支えるためには、とてつもなく厳しい戦いを勝ち抜いていかなくてはならない。

当然、行き着くまでの間は「食う」ことはむつかしい。

それでも「そこ」に挑むには、並大抵の「忍耐力」では耐えられないことは想像に難くない。

また、テニスは一人で戦わなくてはならない。

ゴルフではキャディーというサポーターが近くにいるし、試合の最中にも声を掛けることができる。

野球やサッカーのような団体スポーツでは仲間とともに戦うので孤独感はないだろう。

試合に入ったらまったくの一人きり(団体戦を除いて)、何のアドバイスも、協力も求めることができないもっとも孤独なスポーツなのである。

だから、歌でも ♪コートではひとり、ひとりきり という歌がじ~んとこころに沁みて泣けてくるのである(えっ、私だけ?)。

それくらい孤独なスポーツなので、それに耐えられない選手はそもそもテニスには向かない。

これは相当に大変なことだ。

まだまだあるぞ。

テニスはもっとも「しんどい」スポーツだということだ。

試合時間は、長いときでは3時間や4時間以上にもなる。

大きな大会になれば、2週間も試合をし続けることになる。1週間は当たり前である。

しかも、その大会に向けて調整という意味で、少なくとも3、4日は試合会場で練習することになるし、今やっている大会と次に出場する大会でサーフェイスが違えば、調整期間はもっと長くなる。

野球やサッカーではサーフェイスが問題になることはほとんどないだろう。

気候の違いや時差などによる調整が必要ということはあるが、それとてテニスでも同様であるので、テニスは2重3重に苦しい思いをしなくてはならないということだ。「もう、やめだ!」と思いたくなる気持ちはよくわかる。

これはもちろんプロ、もしくはプロを目指している人のことであるが、ジュニアの選手でも同じような「忍耐力」が求められるのがテニスの世界である。

テニスではプロのツアーの仕組みもジュニアのツアーの仕組みもそれほど変わるわけではない。

ポイントを稼いでランキングをあげるために世界中の大会に参加し、グランドスラムを目指す。

プロとなんら変わることはない。

ということは、ジュニアのときからもの凄い「プロ意識」がなくては戦ってはいけない「舞台」なのである。

しかし!日本ではちょっと事情が違い、特殊なルールに則って試合が行われることが多い。

練習無し、ワンセットマッチ(私はノーアドバンテージの4ゲーム先取の試合を知っている)、休業中の過密日程などなど・・・。

世界から見れば「異様な世界」がそこには広がっている。

かくいう私も海外に出る前までは、「この世界」が当たり前であると思っていた。

そこでは本物の「世界」で戦う凄まじいまでの「忍耐力」を必要としない。

だからこそ「忍耐力」のある選手は素晴らしい成績を修めるチャンスが大きい。

まだあるぞ。

テニスでは多くの場合「セルフジャッジ」である。

もめごとがない・・・わけがない。

しかし、ルール上も、倫理上もネットを飛び越えて相手に殴りかかる、というわけにはいかない。

ひたすら「そのこと」を耐え忍ばなければならないのだ。

そんなときに人間としての「耐性」が試される。

現状が自分に不利に働いて、それをどうすることもできないとき人間は絶望する。

そんな機会がもっとも多いのがテニスというスポーツなのである。

いかに「忍耐力」が必要なのかは理解できるだろう。

これだけでは終わらない。

実はテニスは大変お金がかかる。

レッスン費、練習に通うための交通費、ガットはぶちぶち切れる。

強くなればなったで、遠征にかかる費用はばかにならない。

ツアーに出なければポイントを稼ぐことができないので、国内だけでの遠征では済まなくなる。

当然何万円ものお金がかかるのだ。

それを支えているのはもちろんほとんどの場合「親」だ。

お金を出すスポンサーだと考えても良い。

スポンサーであればいろいろなことに口出しをする。

その最たるものは「強くなれないんだったら、お金はださない」という「脅し」である。

これは結構「強力」である。

プロであったら、それを否定することはできず、ひたすらお願いしてお金を出してもらうか、他のスポンサーを探すことになる。

それが「強くなる」ためのモチベーションにもなっている。

しかし、親となると「うっとうしい」存在であると考えてしまうのが普通である。

いろいろといわれると「感情的」になるのが当たり前なのだ。

この「感情的」になった自分をコントロールするのは大変な「忍耐力」が必要とされる。

私に言わせれば、これは「訓練」としては良い機会だと思うのであるが、小さい頃から送り迎えが当たり前で、言うがままにお金を出してもらうのが当たり前で育ってきて、その成果が思うように出ないときにはお互いが「感情的」になることは避けられない。

ここに本当に必要な「忍耐力」の訓練の場があるのであるが、それに耐えられない子は(もちろん親も)大変多い。

テニスとはこんなスポーツである。

あらゆるスポーツの中でもっとも「忍耐力」が必要なスポーツのひとつであることは分かってもらえただろうか。

だからこそ大きな声で叫んでおきたいのである「忍耐力ない奴は強くなれない!」と。



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Posted by Picasa

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