2009年9月30日水曜日
見えないのに見えてくるもの(1765)
<韓国遠征6日目>
今日は朝からあいにくの雨模様で、インドアコートに移動して本戦のみ行われることになり、志歩と都のダブルス以外はあすに順延になりました。
志歩と都のダブルスは、力強いストロークとまずまずのネットプレーで主導権を奪いファーストセットは簡単にとりますが、セカンドセットに入ると相手の粘りに単純なミスを繰り返してリードを許します。
そこから積極的なストロークで盛り返して接戦をものにして何とか勝ち上がりました。
ショットの威力は十分にありますが、相手の弱点を突くという最も基本的な戦術も実践することができません。
勝つためにどうすべきなのかを判断し、状況に応じて配球することが勝つためには必要であることをしっかりと学んでほしいと思います。
明日は順位戦が2試合組まれています。
自分自身で納得できる素晴らしい試合をしてほしいと思います。
「素晴らしい試合とは目を閉じていても、選手の動き、ショットの強さ、息使い、フットワーク、ガッツ、悔しさ、などが見ているかのように感じられる試合である。」
という文を読んだ記憶があります。
試しに遠征の初日の練習マッチを目を閉じて聞いてみました(決して眠ってはいませんよ)。
ミスをして悔しい時の声は聞こえてきます。
それ以外は、ボールを打つ音しか聞こえてはきません。
何も伝わってくるものがありません。
良い試合ではないということです。
「目で見なくても伝わっていくもの」、
きっとそれが強くなるためには必要なものだと思います。
誰かが強い選手の行動を見て「私にはできない」と言いました。
強くなることをあきらめたわけではないとは思いますが、「何が何でも」という強い気持ちではないということです。
それをうまく引き出すのがコーチの仕事ですが、大変難しいことです。
でも、厳しく叱った後の子どもたちの練習を見ていると、何となく「それ」が伝わってきます。
ある試合では、目を閉じていてもはっきりと「それ」を感じることができます。
「強くなるということがどういうことなのか」を少し理解したのかもしれません。
そうやって少しづつ成長していきます。
忍耐強く教えていこうと思います。
<試合結果>
志歩・都 6-2、6-4
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2009年9月29日火曜日
勝負強さを身につける(1764)
<韓国遠征5日目>
今日は雨模様の天気予報でしたが、何とか無事に本日の日程を消化しました。
大斗は不安定なショットに加え、持ってきたラケットすべてのガットを午前中の練習と試合中に切り、借り物のラケットで戦ったこともあってなかなかリズムに乗れませんでしたが、うまくネットプレーでしのいで辛勝です。
ストロークの安定感を高めなくては勝ち進むことは難しいと思います。
フットワークの充実とコントロール精度を高める必要があります。
大貴は、大柄な対戦相手の強いスピンボールの対応に苦しみ、返球するのがやっとの状態でしたが、ファーストセットの後半から回り込みのフォアハンドと中ロブでうまくつないで互角の展開に持ち込みます。
最後は積極的な攻撃に振り切られましたが、ボールに対する高い執着心を見せた良い試合だったと思います。
雄太は相手選手の早いミスに助けられ、終始リードを奪う展開でしたが、ここというポイントで凡ミスを繰り返して劣勢に追い込まれる場面もありました。
勝負弱さはまだ克服できていないようです。
ペースを乱した時にどう対処するのかということを学んで勝負強さを身につけてほしいと思います。
慎也の相手もストロークの安定性に欠け、比較的楽な展開でしたが、ショットの変化に対応できずに凡ミスをする場面も多く、より高い精度のストローク能力を身につけなくてはなりません。
女子では、志歩が初戦を戦いました。
粘り強いストロークが持ち味の選手との対戦でしたが、力強いショットで相手を追い込み、ファーストセットを奪います。
セカンドセットに入ると、相手選手の対応力が上がり、粘り強さが増してきます。
それにプレッシャーを受けてミスが目立つようになり、大切なポイントでの打ち込みをことごとくミスをしてセカンドセットを奪われ、ファイナルセットも同じような展開で惜しい敗戦となりました。
ショットの威力は十分あるので、精度を高めることと苦手のバックハンドの技術の向上を目指してほしいと思います。
しかし、今までの戦いに比べ、声を出し、ガッツポーズで気持ちを高め、うなだれる場面も少なく、戦うための基本的なことを高いレベルでできていたと思います。
これを続けることで技術レベルの向上も早くなります。
高い目標を持って頑張ってほしいと思います。
遥佳も惜しい敗戦となりました。
大柄な対戦相手の角度のあるボールの返球に苦しみ、粘り強さを発揮することができずにファーストセットを奪われます。
セカンドセットに入ると、中ロブや緩急を使って相手のリズムを崩し、ミスを誘ってリードを奪いますが、大切なポイントでの消極的なプレーが響いて逆転で落として敗れました。
ディフェンスは高いレベルでできていますので、より積極的な攻撃を心がけて、チャンスで相手に大きなプレッシャーをかけることができるようになれば良いと思います。
都は昨日までの強引な攻撃を抑え、相手をよく見て配球し、チャンスボールを思い切って打ちこむという自分が目指すプレースタイルで戦うことができました。
相手のショットのレベルが高くはないので、比較的余裕を持って戦うことができましたが、相手のレベルが上がっても同じようなプレーを心掛けて辛抱強く戦ってほしいと思います。
詩菜は安定したストロークで相手に付け入るすきを与えずに完勝です。
自分のリズムでラリーできている時は思い切りの良いショットもきちんとコントロールできます。
その安定感を生み出すのはコートカバーリングの素早さです。
練習では常にその意識を持って取り組むことで能力は向上してきます。
高い意識を持って練習してほしいと思います。
今日からダブルスも行われました。
シードされた志歩と都の組以外はすべて対戦がありましたが、残念ながらすべて敗退となりました。
大貴と慎也の組は、相手の強いストローク追い込まれる場面が多く、守備的なボールをうまく配球できずに打ち込まれて敗退しました。
ショットの強さと切り返しの精度を上げなくてはならないと思います。
雄太と大斗の組は、相手選手の力強いストロークに押されてミスを繰り返しファーストセットを落としますが、セカンドセットからはIフォーメーションを取り入れるなど積極的なプレーで押し、タイブレークで奪い返します。
ファイナルセットのスーパータイブレークも互角の展開ですが、大切なポイントでネットプレーのミスが出て惜敗です。
大切なポイントでのミスショットを少なくし、より積極的なプレーをするように心がけてほしいと思います。
遥佳と詩菜の組も惜敗です。
ファーストセット序盤はリードを奪われますが、徐々に押し返し、後半はリードを奪い優勢に立ちます。
ここで降雨による中断があり、インドアコートに移動しての戦いになりました。
うまく気持ちの高まりは維持できていたと思いますが、大切なポイントでの思い切りが足りずにポイントを失いファーストセットを落としました。
セカンドセットも互角の展開ですが、大切なポイントでのダブルフォールトやネットプレーのミスが出て惜しくも落として敗れました。
やはりここ一番での思い切り、勝負強さが必要だと感じます。
大切なポイントでより積極的なプレーを心掛け、勇気を持って打ち込み、ポイントを奪いきるという経験が必要です。
この大会でそれを訓練できれば良いと思います。
勝負強さを身につけるには練習を頑張るだけではだめです。
試合の大切なポイントで、どれくらいの勇気を持って打ち込めるかどうかが鍵です。
今回の遠征はその訓練のつもりでいます。
明日からの試合でみんなの勇気を見たいと思います。
<大会結果>
大斗 6-7(7)、6-3、(10-4)
大貴 4-6、2-6
雄太 6-3、6-3
慎也 6-4、6-3
都 6-1、6-2
志歩 6-4、3-6、3-6
遥佳 2-6、5-7
詩菜 6-1、6-2
大貴・慎也 1-6、3-6
雄太・大斗 3-6、7-6(2)、(8-10)
遥佳・詩菜 6-7(4)、4-6
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2009年9月28日月曜日
貪欲になれ(1763)
<韓国遠征4日目>
今日も朝から今にも降り出しそうな曇天の中、本戦がスタートしました。
大貴は、力強いフォアハンドで相手を追い込む場面もありましたが、切り返しの強いスピンボールに対応できず、浅くなったボールを打ち込まれ、ミスを繰り返してポイントを失って敗退です。
まだショットが弱いので、しっかりとトレーニングをして力強さを身につけてほしいですね。
慎也は、昨日の予選決勝と同様にまずまずの集中力で戦いましたが、サービスの精度が低く、バックハンドをうまく攻められて敗れました。
課題はすぐには修正されませんが、次のステップに進むためにはどうしても克服しなければなりません。
高い意識を持って取り組んでほしいと思います。
雄太は、ファーストセットはタイミングをうまく合わせることができずに奪われましたが、セカンドセットの後半からは積極的なプレーでリズムをつかんで取り返します。
ファイナルセットは相手のモチベーションが下がる中、圧倒的に有利な状況にありながら単純なミスを繰り返し接戦に持ち込まれます。
タイブレークに入っても大きくリードを奪いますが、そこから同じようなミスを続けて敗退しました。
勝負弱さを露呈したような内容は、大きな課題として残ります。
自分の有利な戦いにするために何をするのかという判断力を磨いていかなければなりません。
大斗も自分の力を発揮できずに敗退です。
ただ強いショットを打ち込んで相手を追い込むというスタイルだけでは限界があります。
ショットを配球して、相手を崩してポイントに結び付ける展開力が大切です。
まずはベースラインからのラリーボールの精度を上げなくてはなりません。
ラリーボールが不安定なので単発のショットに頼っているように見えます。
そこを脱却して次のステップに進んでほしいと思います。
女子については、シード選手となった志歩は本日のマッチは組まれませんでしたが、都と遥佳が1回戦での対戦となりました。
海外まで来て日本人同士の対戦はどうかと思うかもしれませんが、公平なドロー作成においてはよくあることなので、お互いの力を出すことだけを考えるように伝えました。
試合の方は守備がしっかりしている遥佳がうまく都の攻撃をうまくしのいで快勝です。
ただ攻撃面がちょっと弱いので、明日の試合ではもう少し踏み込んだ積極的なプレーを望みます。
都は攻撃の精度を上げることが課題です。
スピンの能力を高め、スイングスピードを活かす工夫が必要です。
詩菜は粘り強く返球しますが、対戦相手の丁寧にコースを突くプレーにミスを重ねて敗れました。
ショットの威力や精度で大きな差があるわけではありませんが、コートカバーが遅く、相手に簡単に追い込まれることが課題です。
脚力はある程度のレベルにあるので、常に次の動きを意識して、コートカバーのスピードを高めなくてはなりません。
フットワークを武器にする、そんな気持ちを持って練習してほしいと思います。
今大会もなかなか勝つことは難しいということです。
何度も教えてきていることですが、勝負に対する気持ちが弱いように感じます。
何事にも貪欲ではないことが気になります。
朝の練習コートでは、雨が降って水がたまっているので水はけをしますが、素早く行動できません。
ひとつしかないブラシを順番で待っています。
他のコートまで取りに行けば、あっという間に終わるのにそれに気付きません。
予約した練習コートで他の選手が練習していて練習できない、と言うので私が交渉に行き、コートを開けてもらっている間に準備ができません。
せっかく予約したコートで、時間は限られています。
普通であれば、コートが空いたらすぐに練習できるように完璧に準備をして待っているはずです。
コートが空いてから準備をしているのでそれだけでも練習時間を無駄にしてしまいます。
それにも気づきません。
練習することに対して貪欲ではないからです。
強くなりたければ貪欲にならなければなりません。
練習に対して貪欲になり、勝つことに貪欲になり、強くなることに貪欲になることで強くなっていきます。
この遠征では強くなることを訓練しています。
少しの時間を惜しんで練習し、いつも以上に勝つことにこだわって、絶対に強くなることを目指して行動してほしいと思います。
<試合結果>
大貴 1-6、1-6
慎也 2-6、2-6
雄太 4-6、6-4、6-7(5)
大斗 1-6、0-6
遥佳 6-1、6-0 都
詩菜 1-6、2-6
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2009年9月27日日曜日
自分流では戦えない(1762)
<韓国遠征3日目>
予選の決勝を戦った慎也は、昨日に比べて高い集中力と闘争心を持って戦いましたが、大切なポイントでのダブルフォールトや打ち込みのミスが多く、うまく流れに乗れないまま敗退です。
セカンドサービスの精度と威力を高めること、バックハンドを打った後のコートカバーを早くすること、ネットへの攻撃のパターンを作ることをアドバイスしました。
意識を高めて練習し、ショットの精度を高め、戦術面の強化に取り組んでほしいと思います。
残念ながら予選での敗退ですが、ラッキールーザーでの本戦インになりそうです。
勝つために自分がしなければならないことは何かをよく考えて戦ってほしいと思います。
この遠征に参加している選手も大変よく練習します。
「自分なりに一生懸命」は大切なことです。
でも、それだけでは戦えないように思います。
戦うことに必要なことに「気づく」ことができる選手は、戦いを通して強く成長していきますが、なかなか「気づく」ことができない選手は、「何が足りないのか」、「どうすれば良いのか」を教えてもらって、しっかりと記憶し、変えていくための努力が必要です。
こうした遠征を通して学ぶ機会もありますが、強い「自覚」や「忍耐力」が必要で、なかなか面倒なことです。
もっと簡単な方法はないかと考えてみました。
それは、自分の好きなプレーヤー、憧れのプレーヤーの「マネ」をすることです。
劣等生が一念発起して東大を目指す「ドラゴン桜」、という漫画の作者は、成功者の「マネ」をすることの重要性を説いています。
そこから始めていろいろな経験を積み、「自分流」が出来上がってきます。
イチローも始めから個性豊かな選手ではなかったはずです。
でも、多くの子どもたちは自分がやっていることにうまく気づけない「自分流」になっているような気がします。
この「気づき」があるかどうかで強くなれるかどうかが決まってしまいます。
誰かのプレーを見て、
「こんなプレーはいいなあ」、
「こういうふうにプレーしてみたい」
と思ったら実践してみることです。
思い切ってトライしてみることです。
そうやって「個性」は磨かれ、「自分流」で戦うことができるようになってきます。
昨日、子どもたちを厳しく叱った後、そんなことを考えていました。
うまく伝えることができればいいなと思います。
朝の練習では、女の子たちは気合の入った練習ができていたと思います。
まだまだ満点というわけにはいきませんが、ほんの少しの意識の変化で大きくプレーが変わるということを実感できたのではないでしょうか。
明日からの試合でさらに意識を高めて臨むことができることを期待します。
<大会結果>
慎也 2-6、1-6
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2009年9月26日土曜日
見えない本気(1761)
<韓国遠征2日目>
参加選手で唯一予選を戦うことになった慎也ですが、慣れないハードコートにタイミングを合わせることができずに苦戦です。
相手選手は、ショットの威力はありますが安定感に欠け、うまく対応できれば問題ありません。
しかし、その対応力を十分に備えてはいません。
この年齢ではショットを磨いていかなくてはなりませんが、それを活かすための戦術や戦略を考えてプレーできるようにならなければなりません。
自分と相手のプレーを冷静に分析し、効率的にポイントを取る方法を瞬間的に判断できる能力を高めてほしいと思います。
今日試合のなかった選手は、午前と午後に2時間程度の練習を行いました。
ボールやコートに十分に慣れていないので、そのための練習ですが、簡単なミスが多く、集中力を高められていないように感じます。
そして、何よりも「本気」で強くなりたいという気持ちが見えてこないことが気になります。
この遠征をきっかけにして「何かを変える」という思いが大切です。
「何かを変え続ける」ことで強くなりますが、それを実際に行うためには「本気」で強くなりたいという強い思いが必要です。
それをまったく感じることができない女の子たちの練習を見て、強い憤りを感じ、練習を切り上げ、大会への不参加を通知しました。
子どもたちの本気を導き出したいからです。
「それ」が中途半端では、海外まで遠征に来たことがマイナスなってしまいます。
そうならないために大会不参加も止むなしという判断です。
夜のミーティングの後、女の子たちと話をして、明日の朝の練習を見て最終的に判断すると告げました。
このようなアプローチが良いのかどうかはよく分かりません。
でも、「本気」以外で強くなる方法はありません。
その思いを伝える機会になったことは良いと思います。
試合に向けて気持ちを高め、悔いのないように準備をしてほしいですね。
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2009年9月25日金曜日
続けることの意義(1760)
<韓国遠征初日>
今日から韓国遠征が始まります。
初めて韓国に遠征に来たのは4年前になります。
それ以来、毎年欠かさずに遠征に来ているわけですが、実はこれは大変なことです。
多くのコーチが子どもたちを海外遠征に連れて行きたいと願っていますが、それを毎年のように続けるためには、多くの選手を擁し、遠征費を負担できるだけの経済力があり、コーチに遠征に出るだけの時間的に余裕がある、などの条件をクリアしなければなりません。
それがいかに大変なことであるか は理解できると思いますが、トップジュニア委員会の活動を通してそれを実現できているということを誇りに思います。
続けることでネットワークは広がり、多くの情報が集まるようになり、遠征の計画も立てやすくなります。
タヒチ遠征のような、みんなが知らない大会に遠征を行うことができるのも続けてきたからです。
また、こうして続けることで海外遠征を身近なものに感じることができ、「いつかは自分も」という思いが高まることで、その持てる力が大きく開花していきます。
私たちが行っている活動は、そのきっかけを与えているにすぎませんが、それを続けることできっと大きな意味を持つようになると思っていす。
子どもたちが大きな夢を持ってテニスに取り組むことができる環境を作っていく、というトップジュニア委員会の活動のためにこれからも「続けること」を目標に頑張っていこうと思います。
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2009年9月24日木曜日
観るのが仕事(1759)
私の職業はテニスコーチです。観るのが仕事です。
いっぱい試合を観ます。
試合を観ていると子ども達はいろいろな顔を見せてくれます。
勝った嬉しい顔、満足できる試合をした時の自慢げな顔、負けた時の悔しい顔、泣き顔・・・、などです。
そのすべてにドラマがあるのですね。
それを見るのは楽しみでもあり、そこから「何か」を見つける「大切な仕事」になります。
情熱のある指導者は一様に「大会会場に足を運ばないといけません」と言います。
会場に行かなくても、試合を直接見なくても子ども達がどんな試合をするのかは分かると言い放ち、会場にまったく顔を見せない指導者もいますが、すごい能力だと思います。
私にはそうした能力は備わっていないので、会場に行ってできるだけ試合を見なければならないと思います。
もちろん試合ではいろいろなことがおきます。
うまくプレーできない時がほとんどです。
相手がジャッジを公正にできないこともあるでしょう。
自分のジャッジにクレームをつけられることも多々あります(あまり見たくはありませんが、親がクレームをつける場合もあります)。
そんな時は子ども達はどんなふうに解決していくのでしょう。
自分ではうまく解決できなかったり、間違った考え方を持つこともあるかもしれません。
そんな時、その場に指導者がいたら、うまい解決の方法を教えてくれるかもしれません。
それが一番大切なことだと思います。
そういことをたくさん経験しながら、相手と戦うこと、自分と戦うこと、自分がテニスをするということ、そういうことがどういうことなのかを学んでいくのでしょう。
そのためのお手伝いをすること、それがコーチの「仕事」です。
できるだけたくさんの試合を観ます。
それが「仕事」ですから!
明日からの韓国遠征、なんとか途中で寝ないようにがんばります!
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2009年9月23日水曜日
仮想世界(1758)
タヒチ遠征から帰って、翌日は朝からレッスン、そして夜にはディズニーランド遠征を行うというハードなスケジュールをこなしました。
さすがにしんどいですが、忍耐力を学びました。
夜中にほぼ徹夜で走り通す、
眠気をこらえてアトラクションに乗る
そのアトラクションに乗るために並ぶ、走る
たいしておいしくもない高い料理を無理して食べる
面倒くさがらずにミッキーの写真を撮りまくる
よく分からないけれど、お土産を買うために並ぶ
渋滞で我慢してハンドルを握り続ける
海外遠征にも勝る過酷な遠征をこなすには、大きな忍耐力がいるということです。
はあ~、しんど!
でも、家族サービスをする時間もほとんどないので、こんな時にしか出かけられないので仕方ないですね。
正直、私は遊園地があまり好きではありません。
ジェットコースターなどの乗り物は大好きですが、仮想空間を演出したディズニーランドのようなものを心から楽しめないのです。
なぜかと考えてみました。
ある本に、
「仮想空間を楽しめない人は、現実世界を十分に楽しんでいるからだ」
と書いてあったように記憶しています。
そう、私は現実の世界、今の自分の生活を心から楽しんでいるんですね。
もちろん、仮想世界と違って苦しいことや困難なことはたくさんありますが、それが「生きている」ということです。
そんなふうに考えます。
だから仮想世界を心から楽しめないのかもしれません。
でも、家族といる時間はかけがえのないものです。
家族といる時間を心から楽しいと思えます。
アメリカにいた時に、一人でディズニーランドに行ったことがあります。
まったく楽しめませんでした。
ともに楽しむ人がいて、その喜ぶ顔や嬉しそうな笑顔を見ることができて、はじめて自分も楽しむことができるんですね。
身体的には相当にきつい思いをしましたが、忍耐力を学び、そして何よりも家族と同じ時間を共有できたことを心から嬉しく思います。
明後日からは韓国遠征が始まります。
現実の世界で、しっかりと高い意識を持って戦ってほしいと思います。
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2009年9月22日火曜日
勝負に対して貪欲であれ(1757)
試合の日は練習コートが用意される。
予約表に自分の名前を記入して練習コートを確保するのだが、強い選手は練習コートの確保がすばやく、少しでも空きがあれば、すぐに自分の練習コートにしてしまう。
ある試合でも、練習時間は20分と決められていたのだが、強い選手は少しでも空いているコートがあれば、さっと名前を記入して練習時間を確保していることに感心したものだ(単なるわがままで、他人の迷惑をかえりみないような奴は後ろから思いっきりけりを入れたくなるが)。
それに対して、弱い選手は、ただ与えられるコートでの練習で良しとしてしまうことが多い。
ある選手は、自分の練習時間が来るまで仲間としゃべっていて、十分に体を動かすこともできないままに練習にはいっていた。
その対戦相手をみると、練習時間前に十分なウォーミングアップを終え、コートに入ればすぐにベースラインからフルスイングできる状態になっている。
もちろん、余分に確保した練習時間で実践的な練習に取り組んでいた。
もう何も言うことはない。
この時点で勝負はすでについている。
強い選手は、勝利することに対して大変に貪欲だ。
そのための準備は万端である。
単に身体的にウォーミングアップができているというのとは違う。
勝つために自分の気持ちを高めることができ、そのための行動をしっかりと行うことができる。
ここでもう一度、イチローのコメントを載せておこう。
「やれることはすべてやったし、手を抜いたことは一度もない。常にやれることをやろうとした自分がいたこと、それに対して準備ができた自分がいたことを、誇りに思っている。」
君たちにこのプライドがあるのか?
なければ強い選手になることは不可能だと言うことを自覚してほしい。
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2009年9月21日月曜日
弱気な言葉を口にするな(1756)
一日中試合会場をうろついていると、いろいろな会話が聞こえてくる。
そのほとんどは「くだらねぇな。やっぱガキの会話だな。」という程度のものだ。
まだ会話があれば良いほうなのかもしれない。
あちこちでメールのやり取りをしている姿が、本当によく目につく。
メールは新しい時代のコミュニケーションの手段なのだろうが、私は「電話なんて話せりゃいいじゃん」と思う(ダウンタウンの松本仁志もそう思っている)。
ただ、テニスの話になると、特に試合前は、それなりの緊張感やけん制の入り混じった、なんとなく堅苦しい会話になるようだ。
そんな会話の中にも強い者とそうでない者を明確に隔てる法則が存在しているのだが、あなたにはお分かりであろうか。
それは、ずばり!「強い選手は弱気な言葉を吐かない」というものだ。
もちろん、単に強気な言葉を口にするというのとは違う。
弱気な自分をごまかしたり、奮い立たせるために「俺が絶対に勝つ」と言い張るのは単なるツッパリだ(いまどきこんな言葉を使って意味が通じるのかなあ)。
また、「絶対負けないよ」とか「負けるはずないじゃん」と、自分の強さを過信し、慢心しているときにでてくる言葉でもない(宇宙戦艦ヤマトで、宿敵デスラーが「ヤマトの諸君、私に勝てるかな?」と嘲笑するように見下して言う言葉のようだといえばわかりやすいか)。
そうではなく、
「確かに厳しいけれど、集中力が切れなければ大丈夫」、
「相手のフォアの攻撃を防ぐことができれば勝てる」
など、相手の観察と自己分析によって、戦うためにどうすればよいのかが明確になっており、それを実践しようとする意志をはっきりと口にできる奴が強い選手だ。
それに対して、弱い選手は、
「もう無理、無理」、
「多分負ける」、
「どうしようもない」
などという弱気な言葉を平気で吐く。
心理的には「弱気な言葉を吐いて、負けたときの言い訳を用意する」ことを意味している。
強い奴がこういう気持ちで向かってくるのに、それに怯んでいたら勝ち目は100%ない。
どうすれば勝つチャンスが生まれるか、そのために自分のすべきことはなにかついて焦点をきっちりと向けられる奴でなければ、可能性は開けない。
ヤマトは圧倒的に不利な状況でも決してあきらめなかった。
常にそのときにできる最善策を模索しながら、なにがなんでもイスカンダルにたどり着くのだという強い意志に支えられて行動した。
だから、絶対の力に慢心していたデスラーは敗れ去ったのだ。君はヤマトになれるのか!!!(すみません。なにしろ最も好きなアニメなので、興奮してしまった)。
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2009年9月20日日曜日
本当の優しさ(1755)
私は南の島が大好きになりました。
見知らぬ人も、みな私に握手を求めてきます。
本当であればフレンチキスであいさつするところでしょうが、さすがにそれはちょっと照れますね。
笑顔と南国の雰囲気は大変心地よく、独特の「癒しの空間」だと思います。
ゲストだから優しくするのではなく、いつもそうだから、いつもように優しくするからその思いが伝わってきます。
沖縄の遠征もそうでした。
「本当の優しさ」に触れた時、自然と涙があふれます。
遠征に出るのは正直しんどいですが、そうした大きな喜びもあります。
そういう思いになる時、再び遠征に出る意欲がわいてきます。
そして、子どもたちはテニスを通して優しさや愛情を学んで立派な人間に成長してほしいと願います。
タヒチの遠征を終わって、ちょっとゆっくりしたいという気持ちはありますが、すぐに韓国遠征があります。
韓国遠征はもっともっと厳しい遠征になりますが、そんな思いを胸に気合いで頑張りたいと思います。
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2009年9月19日土曜日
精神力(1754)
<大会を振り返って>
今回の遠征はホームステイでお世話になっていてミーティングをする時間はありませんでしたので、少しだけみんなを集めて話をしました。
今回、話をしたのは「精神力」についてです。
「精神力」というと抽象的で分かりにくいですが、ギリギリの勝負で勝敗を左右するのはこの「精神力」です。
ギリギリの場面で思い切って打ち込んだショットがちゃんとインコートになる選手とアウトになってしまう選手がいます。
それは技術の差ではありません。
集中力という単純なものでも、闘争心でもありません。
もちろん、それを含んではいますが、総体的な心の力、「精神力」の差です。
これを鍛えてほしいのです。
どうすれば鍛えることができるのか、それは「生活」の中から高まってきます。
忘れ物の多い選手、準備ができない選手、周りのゴミや散らかっていることが気にならない選手などは、この感性は高くは備わってはいません。
知識ではなく、ふと感じた時にすぐに「行動」できるかどうかが大切なポイントです。
テニスでは状況判断の能力が大変重要です。
こうした感性を持っている選手は自然とその力が身に付いてきます。
それが「精神力」を高める第一歩です。
すぐに「行動」することです。
それを忘れないでください。
次に大切なのは「忍耐力」です。
テニスは嫌なことの方が多いに決まっています。
思うようにプレーできない、ちゃんと当たらない、相手にエースをとられる、心を乱す嫌なことはたくさんあります。
まずはそれを認めることから始めましょう。
嫌なことの方が多いのですから、嫌なことを嫌なものだと強く思ってしまうことは心を弱めていきます。
この大会でも、ちょっとスウィートスポットに当たらないだけでプレーを止めてしまうようなことがたくさんありました。
ポイントが決まったわけではありません。
ちゃんと当たらない、という嫌なことに心奪われてしまって体が動かなくなってしまうのです。
そういう選手は残念ながら強くなりません。
どんなショットであれ、インプレー中に集中力を乱すことで勝てるほど甘くはありません。
そういうショットに心乱すことなく、すぐに相手の攻撃に対して意識を向けられること、これが「忍耐力」が高いということです。
嫌なことを受け入れて、次の行動に素早く切り替えることができるということです。
こういう選手が強い選手です。
そして、感謝の気持ちを忘れないことです。
この遠征にはたくさんお金がかかります。
良い経験を積むことができるようにと親御さんが送り出してくれました。
ホストファミリーの方も煩わしいことが多いのに進んで受け入れてくれました。
大会はみんなにとってより良い大会なるようにいろいろと考えてくれました。
遠征に出ることは当たり前ではありません。
それを心から感謝することで「精神力」は高まってきます。
私は「生活力」がとても大切だと考えます。
いくら頭でわかっても、それを毎日の生活の中で実践してこそ身に付いてきます。
毎日がトレーニングです。
それしか方法はありません。
みんな「強くなりたい」と言います。
本当にそう思うのなら、そう思って生活することです。
そのことをこの遠征で学んで、これから高い意識を持って実践してほしいと思います。
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2009年9月18日金曜日
祝福(1753)
<大会6日目>
今日はすべての試合が夕方から組まれているので、海外から大会に参加しているニューカレドニアや日本選手たちは午前中に海水浴を楽しみました。
本当は船に乗って離島へのクルーズと海水浴を楽しむ予定でしたが、ストライキがあってタヒチ島の浜辺に移動です。
それほどのことはない、と地元の人は言っていますが、そこはやはり南国、日本とは違う澄みきった海に、サンゴ礁を回遊する魚たちに感動です。
特にここの魚たちは警戒心が薄いのか、手を差し伸べると指先に触ってきます。その様子が楽しくてずっと海の中にいたのでかなり日焼けが痛いです。
遠征というと、宿泊先と会場の往復ばかりで、観光などを楽しむことはあまりないので、子どもたちにとっても私にとっても良い思い出になりました。
こうした心使いは本当にうれしいですね。
海水浴から戻り、レセプションの準備が進む中、女子ダブルスの決勝が行われました。
決勝を戦った彩子と南穂は、相手の強いボールに対して、粘り強いストロークで応戦しますが、大切なポイントで思い切りの悪いプレーや、ネットプレーの凡ミスが出て惜敗です。
とても良いプレーができていると思いますが、明らかなレットを分かっていながら、それがうまく通じないのでそのままプレーを続けようとして、私に厳しく叱られました。
そういう戦う姿勢の低さが敗戦につながったのだと思います。
きちんと主張できるという姿勢は強くなるためには大切な資質です。
この大会を機に、その資質を高めてほしいと思います。
大会終了後はレセプションです。
今回の遠征の選手たちは多くの種目で優勝、入賞を果たし、たくさんの人たちに祝福されました。
特別に自己紹介をする機会も与えられましたが、おどおどしながら拙い英語で話す姿は初々しく、微笑ましい光景であります。
いつの日か、堂々と英語でチャンピオンスピーチをする姿を見てみたいものです。
<大会結果>
(女子ダブルス決勝) 彩子・南穂 4-6、5-7
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2009年9月17日木曜日
戦う姿勢(1752)
<大会5日目>
大会も5日目を迎え、12歳以下の男女の決勝が行われました。
女子の決勝を戦った彩子と南穂ですが、ストロークの精度で上回る南穂が終始リードを奪う展開でファーストセットをとりました。
セカンドセットになると、落ち着いて配球できるようになった彩子が追いつめますが、大切なポイントでの凡ミスが響き、タイブレークを南穂が奪って優勝を飾りました。
二人とも昨日までの戦いよりも冷静な集中力を発揮し、ミスに対するメンタルコントロールも高いレベルでできていたと思います。
まだ状況判断の能力や相手にプレッシャーを与えるような雰囲気作りは不十分だと感じますが、戦う姿勢は高くなってきています。
これから高い意識を持って練習に取り組むことでさらに向上させてほしいですね。
男子は昇平と勇太の戦いになりましたが、高い集中力と闘争心を発揮した昇平が完勝で見事に優勝を果たしました。
勇太も積極的なプレーで応戦しますが、大切なポイントでのダブルフォールトやネットミスが多く、なかな
かリズムをつかめません。
ただ強気で勝負するのではなく、相手の状況に応じて配球できる能力を高めなくてなりません。
大きな課題として常に意識して練習してほしいと思います。
彩子は14歳以下の決勝も戦いました。
ファーストセットは積極的なプレーで簡単に奪いますが、セカンドセットになるとフォアハンドが不安定になり、ペースを落として緩いラリーボールを送る相手のリズムになって落とし、ファイナルセットのスーパータイブレークもうまく流れを変えることができずに惜敗です。
敗れはしましたが、がまん強くプレーしようとしていることが感じられ、選手としてとても大切な忍耐力を学んだように思います。
その成果がこれからの試合で活かされることを願います。
午前の戦いを終え、夕方からのダブルスまで時間があるので再びショッピングに出かけました。
男の子たちは、みなウクレレのようなものを買い、嬉しそうに抱えています。
とても弾けるとは思えませんが、良い思い出としていつまでも大切にしてほしいですね。
ダブルスを戦った昇平と健生は、体格の大きく違う相手に食い下がり、相手の凡ミスを誘って競り勝ちました。
ボールに対する高い執着心が相手の焦りを生んだということです。
続いて行われた準決勝では惜しくも敗れはしましたが、その戦いぶりに多くの方が称賛を贈りました。
相手が誰であれ、常に思い切ったプレーでチャレンジする姿勢は高く評価できます。
この戦う姿勢を伸ばしていくことが大切ですね。
可能性を感じる素晴らしい試合だったと思います。
女子の準決勝を戦った彩子と南穂は、相手の雑なプレーにも助けられ、また強いショットに対しても冷静に対応し、危なげなく明日の決勝に進みました。
決勝相手は簡単に勝てるような相手ではありませんが、自分たちの持てる力を出し切る、そんな気持ちで立ち向かってほしいですね。
明日は、夕方からのダブルスの決勝だけなので、大会がビーチへのピクニックをアレンジしてくれました。
本当は離島に渡って澄み渡る海での海水浴を楽しむ予定でしたが、ストライキで船が欠航らしいです。
南の国なのでのんびりしてそうですが、いろいろあるようですね。
どちらにしても少しは観光気分で楽しめそうです。
日焼けしすぎないように注意します。
<大会結果>
(12歳以下男子シングルス決勝) 昇平 6-1、6-1 勇太
(12歳以下女子シングルス決勝) 南穂 6-3、7-6(4) 彩子
昇平・健生 4-3(4)、2-4、(10-7)
昇平・健生 1-4)、4-1、(7-10)
彩子・南穂 4-2、4-1
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2009年9月16日水曜日
達成できた目標(1751)
<大会4日目>
タヒチ滞在4日目にして、やっと南国らしい日差しが戻ってきました。
試合をする選手にとっては厳しいかもしれませんが、大会の雰囲気を盛り上げるためにはやはり強い日差しは必要です。
そう言えば、大会関係者の方が、
「ニューカレドニアから来た選手は暑い暑いと言うのに、日本の選手はそんなこと一言も言わないのは不思議ですね。」
と言っていました。
夏の戦いを越えてきた選手にとっては、これくらいの暑さは問題ないということです。
ちょっとたくましさを感じました。
さて、今日の午前中に12歳以下の準決勝を戦った彩子と南穂は、ショットの精度の差を見せつけて完勝し、明日の決勝を戦うことになりました。
日本の代表として堂々と戦ってほしいと思います。
12歳以下での戦いでは強さを見せつけた彩子と南穂でしたが、14歳以下では相手選手のショットの威力も精度も上がって思うようにプレーできません。
そういう状況の中でいかにプレーするのかということが大切になりますが、まだまだメンタルのコントロールは不十分だと思います。
南穂は、相手のショットのスピードに対応できず、前半に大きくリードを許して簡単にファーストセットを奪われました。
セカンドセットに入るとスピードにも慣れ、ラリー戦では互角以上の打ち合いを見せますが、大切なゲームやポイントで自信のないサービスを打ちこまれてリズムを崩し、振り切られました。
ゲーム中の振る舞いはまずまずできていたと思いますが、「ここ」というポイントで自信を持って打ち込むことができるサービスの技術を高める必要があると思います。
彩子も思うようにプレーはできませんでした。
ゲーム序盤は相手のミスにも助けられて簡単にリードを奪い、有利に試合を進めます。
しかし、セカンドセット5-2から弱気なプレーでミスを連発して追い込まれました。
タイブレークに入ってからは積極的なプレーで振り切りましたが、昨日同様にプレッシャーがかかる場面では同じようなミスを繰り返すことが気になります。
ボールの変化や配球を覚え、状況に応じた対応力を身につけなければなりません。
すぐに身につくわけではありませんが、明日の決勝でトライできる強い精神力を見せてほしいと思います。
12歳以下の準決勝を戦った勇太と昇平でしたが、ファーストセットを奪った後のプレーがやや雑で、無理な攻撃や集中力を欠いたようなプレーで反撃を許し、セカンドセットを奪われる展開となりました。
どちらもファイナルセットのスーパータイブレークでは集中力を取り戻し、冷静な攻撃でリードを奪って振り切りました。
ファーストゲームや5-5に追いついたような状況では、より攻撃的な気持ちを持ってプレーしなければなりません。
そこで気を抜いたようなプレーをしているようではまだまだ意識が低いと言わざるを得ません。
明日の決勝ではお互いの持っている力を十分に発揮する素晴らしい試合になることを期待します。
午前中にコンソレーションを戦った織部は、まだまだ不安定なショットで相手に簡単にポイントを許すことが多く、なかなかリズムに乗れないことが気になりますが、地力の差を見せて2試合とも勝利しました。
まだまだ力が足りないと感じることも多いので、これからの訓練で高めてほしいと思います。
午後の最後はダブルスでした。第1シードになった勇太と織部でしたが、16歳以下のカテゴリーで行われるため、体格の差はいかんともしがたく、なす術なく敗れ去りました。
なかなかこれだけの年齢差を試合で経験することはないので、それなりに良い経験となったと思います。
明日は12歳以下の決勝で彩子と南穂、勇太と昇平が戦います。
この大会を通して経験したことを活かし、自分のすべきプレーをしっかりとイメージして戦ってほしいですね。
今日の夕食は勇太と織部がお世話になっているホストファミリーの方とご一緒させていただきました。
織部も勇太も大変しっかりとしていて、荷物の管理も完璧にでき、振る舞いも丁寧で大変素晴らしいとの評価をいただきました。
「次回タヒチに来るときにはこの二人を世話できるように大会にリクエストとする」とまで言っていただきました。
多少のお世辞はあるでしょうが、そのような評価をもらって大変うれしく思います。
他のホストファミリーの方からも好評をいただいています。
この遠征の目的の一つである自己管理などについては高いレベルでできているようで安心しました。
でも、うれしくなって食べすぎたので、私の「タヒチでダイエット計画」は達成できそうもありません。
次の韓国でチャレンジしたいと思います。
<大会結果>
彩子 6-1、6-1(U12)
彩子 6-2、7-6(3)(U14)
南穂 6-2 6-1(U12)
南穂 3-6 5-7(U14)
織部 4-2、4-1
織部 4-1、4-2
勇太 6-1、5-7、(10-3)(U12)
昇平 6-3、5-7、(10-6)(U12)
勇太・織部 1-4、1-4
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2009年9月15日火曜日
現れ始めた闘争心(1750)
<大会3日目>
今日も朝からどんよりと曇って時折小雨がぱらつき、南国らしい抜けるような青空で迎えてはくれません。
まあ、一日中試合を見る者にとっては、曇っていて涼しい方がありがたいので、これも恵みだと考えて大会を楽しみたいと思います。
今日は織部のコンソレーションを含めて、10試合が組まれました。
その試合が順番通りに行われたので、朝の8時半から夜の8時半まで試合を見続けます。
途中何度か記憶を失いましたが、この大会に入って子どもたちの成長を感じられる試合も多く、良い経験ができていると思います。
彩子と南穂のダブルスから始まりましたが、ストロークの安定感で大きく勝り、1ゲームも与えずに完勝です。
あっという間に終了したのでうまく評価はできませんが、コミュニケーションも十分に取れているようで、このまま勝ち進んでほしいと思います。
その後に行われたシングルスでは、ダブルスで対戦した相手とそれぞれ対戦が組まれたので、正直楽勝だと思っていました。
しかし、シングルスになるとうまくメンタルをコントロールできないもろさが出て、思いもかけない接戦となりました。
最後は地力で勝っているので何とか振り切りましたが、いくつかの課題が見つかりました。
南穂には、ミスをした後の振る舞いが悪いと相手に精神的な余裕を与えてしまうとともに自分自身のプレーが悪くなるので、極力気持ちの切り替えを早くして、うなだれたり落ち込んだりする態度をしないようにアドバイスしました。
それに加えて、サービスの精度が低いので、うまくリズムが作れないケースが多いように感じます。
姿勢のコントロールとスピンの能力を向上させることが大切であると伝えました。
彩子は、相手の粘りにあってプレッシャー受けると、プレーが消極的になることが気になります。
中途半端なスライスやラリーボールでミスをすると、その後のプレーに大く影響します。
うまくプレーができない時にこそ気持ちを強く持って攻撃することを忘れないで戦ってほしいと思います。
どうしても目の前の勝ちにこだわってしまうとそういうプレーになりやすいので、ただボールを打つことに集中することを心がけて強気なプレーに徹してほしいですね。
昨日の負けで、コンソレーションを戦った織部でしたが、結果は2試合とも惜敗です。
しかし、昨日までのプレーとは大きく違って、積極的なプレーや強気な態度が見られ、良いところが引き出せているように感じます。
勇太も14歳以下の戦いで敗れはしましたが、12歳以下の戦いではしっかりとした戦いを見せて明日の準決勝に進みました。
二人とも、昨日のプレーについては私に厳しく叱られました。
「ここ」に来ていることの意味を理解してほしいし、何よりも強くなるためにしなければならないことを徹底することが大切です。
その自覚が足りないと中途半端な試合になってしまい、遠征に来た意味はなくなります。
そのことを深く理解してほしいのでかける言葉はより厳しくなりますが、今日のプレーを見る限り、ちゃんと理解してくれているようです。
健生はまだ十分に理解してプレーできているとは言えませんが、最後まで闘争心を出して戦えていたことを評価したいと思います。
昇平は、この大会でのプレーぶりには目を見張るものがあります。
ボールに対する執着心、思い切りの良い攻撃、ガッツあふれるプレー、どれも高く評価できるものです。
ショットの不安定さや、時折見せる気の抜いたようなドロップショットは気に入りませんが、そのことを指摘した後の試合では、体格の大きく違う相手の威力あるボールに苦しみながらも、最後まで戦い抜くという意志を感じさせるプレーで魅了しました。
そのことを感じた大会主催者がテレビ局を呼んで、インタビューを受けることになりました。
私のつたない英語でどれくらいのことが伝えられたのかはわかりませんが、多くの人が見ていて「それ」を感じることができるプレーだということです。
「それ」とは、まぎれもなく「闘争心」のことです。
日本の子どもたちには「これ」が足りないと何度も言われることです。
色々な問題や背景があり、簡単に解決できる問題ではないことは承知しています。
しかし、プレーヤーである以上、「闘争心」を高く持っていなくて自分の持つ能力を引き出すことはできません。
それを経験として引き出すため、向上させるために海外遠征に出ます。
かける言葉は厳しく、子どもたちは戸惑いを隠せないこともありますが、そういう経験を通して戦う気持ちを高めていきます。
自分自身のことをすべて自分でやりきる自己管理能力を訓練しながら、高い闘争心をこの遠征で身につけてほしいですね。
そういう意味で、今日の試合を通して、少しづつですが闘争心が現れてきたことをうれしく思います。
一日中試合を見て、やはり疲れは感じますね。
お気に入りになったルロットと呼ばれる屋台で、おいしいガレットを食べて早く休みます。
明日の戦いで、さらに高まった闘争心を見せてくれることを期待します。
<大会結果>
彩子・南穂 6-0、6-0
彩子 6-2、7-6(6)(U12)
南穂 6-3 6-2(U12)
織部 2-4、4-2、(7-10)
織部 3-4、1-4
勇太 5-7、5-7(U14)
勇太 6-4、6-0(U12)
昇平 3-6、3-6(U14)
昇平 6-3、6-4(U12)
健生 2-6、2-6(U12)
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2009年9月14日月曜日
戦うための準備(1749)
<大会2日目>
大会会場が2つに分かれたため、私はもうひとつの会場に勇太と健生と一緒に移動しました。
初め、一人だけ違う会場に行くと知らされていた健生のほっとした安堵の表情が印象的です。
初めにプレーした会場は、街中にある4面ほどのクラブですが、別会場は高台にあって、モーレア島を望む高級リゾートクラブといった感じです。
山の中腹にあって素晴らしい景色の会場は、まさに南国のクラブといった様相です。
その中で2回戦(正式には3回戦から登場しているので4回戦で、ベスト8をかけた戦いとなります)を戦った勇太と健生ですが、さすがに14歳以下の強いストロークとスピンに対する対応が苦しいようで、コントロールミスを繰り返して追い込まれます。
勇太はそれをうまくかわしながら最終セットのスーパータイブレークに持ち込み、ここで粘り強さを発揮して、13-11での接戦をものにして準々決勝に勝ち上がりました。
健生は、序盤こそリードを奪いますが、深くて弾むボールに徐々に劣勢に追い込まれ、最後はやや集中力を欠いたプレーになって敗退しました。
動きも悪くありませんが、闘争心を最後まで失わない強さを身につけてほしいと思います。
同時刻に初めの会場で行われた昇平、織部、南穂の試合は見ることができませんでした。
南穂は12歳以下の戦いでしたが、力の差を見せつけ、相手に全く隙を与えずに完勝です。
明日からの戦いが楽しみです。
昇平と織部は、と同じく14歳の強いショットに対応できずに苦労したようです。
それでも昇平は、最終セットのスーパータイブレークを10-7で振り切って準々決勝に進出です。
この勝負強さをもっともっと伸ばしていきたいですね。
織部は、まだまだショットが不安定なようで、対応できずに3-6、1-6で敗退です。
この悔しさを12歳以下の戦いに活かしてほしいと思います。
休む間もなく始まった男子の12歳以下の戦いですが、思っていた以上の苦戦が続きます。
トップシードをもらったというプレッシャーか、疲れもあるのか、動きの切れがなく簡単にショットをミスします。
ちょっと集中力が緩んでいるのかもしれません。
そうした状況にあっても、地力のある昇平と勇太は、それぞれある程度の余裕を持って勝ち上がります。
健生は、ちょっと雑に見えるプレーで凡ミスを繰り返し、最終セットまで追い込まれますが、10-10の苦しい場面で果敢に攻めて、12-10で振り切り、明日の準々決勝にコマを進めました。
織部は、ここという場面でショットの正確さを欠き、ボールに対する執着心も薄れ、いい所なく0-6、2-6で完敗です。
戦うために自分のすべきことができていないように思います。
ただ勝ち負けにこだわるのではなく、すべきことを貫く強い精神力が必要です。
明日からのダブルスでそれを発揮してほしいと思います。
今日の最終マッチとなった彩子の試合は、フォアハンドの不安定さを突かれて何度か苦しい場面もありましたが、ショットの威力で上回り、明日に勝ち上がりました。
南穂と同様に十分に練習できていないところもあるので、良い調整になったと思います。
今日の戦いを振り返って、まだ十分に「戦うための準備」ができていないと感じます。
比較的気軽に参加できる大会ではありますが、自分たちがここに来て「すべきことは何か」をしっかりと意識して臨んでほしいと思います。
明日からはダブルスも始まります。
一日中試合を見ていると大変ですが、思いのほか涼しく、素晴らしい景色に魅了されて、それほど疲れを感じません。
今日は少し早めに試合が終わったので、港にある公園内に広がるルロットと呼ばれる屋台に食べに行きました。
ここは、中華からステーキ、ピザ、クレープと何でも食べることができます。
値段も比較的安いので毎日通う常連になりそうです。
そんな些細な楽しみも遠征の魅力ですね。
今日も満足してゆっくり寝られそうです。
<大会結果>
勇太 6-3、4-6、(13-11)(U14)
健生 5-7、1-6(U14)
昇平 6-3、4-6、(10-7)(U14)
織部 3-6、1-6
勇太 6-3、6-1(U12)
健生 6-4、5-7、(12-10)(U12)
昇平 6-2、6-2(U12)
織部 0-6、2-6(U12)
南穂 6-0、6-0
彩子 6-1、6-1
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