2010年7月7日水曜日

腕を止める?(2044)



「振り切れ!」などのアドバイスがうまく効果を発揮しないのは、多くのコーチが「腕を振る」、「振り切る」ということがどういうことなのかをよく分かっていないからだ。

そこで、素晴らしいボールを安定して打ち続けることができるために、「振り切る」というのはどういうことかを解説していこうと思う。

以前の連載を思い出してほしい。

「グリップはインパクトの瞬間に強く握るのではなく、出来るだけグリップの力は抜いておいて、体全体を使ったスイングを行うようにすることが望ましい。そして、くりかえし打球しているうちに反射的に、適確なグリップ力を発揮できるようになってくるのである。」

と書いた。実践できているだろうか。

この考え方は、「振り切る」ことについてもまったく同じである。

インパクトを強く意識しすぎて、その時に最大のスイングスピードを出すことができるように腕に力を入れすぎるのは、「インパクトでグリップをぎゅっと握るように打つと強いボールが打てる」という迷信(?)と同じであまり効果はない。

では、どうやってスイングスピードを高めるのかというと、それはずばり「腕を止める」ことである。

「えっ、腕を振り切るためになんで腕を止めるの?」という声が聞こえてきそうであるが、この後の話を聞いていただければ納得できると思うので少し私の話にお付き合いいただきたい。

少し実験をしていただこう。

まずは腕の力を目いっぱいに使ってラケットを振り回してほしい。

その時のラケットのスイングスピードを覚えておこう。

それが今あなたのできる最大のスイングスピードである。

次に誰かに長い棒を立てて持ってもらおう。

その棒の後ろに立ってしっかりと構え、棒に向かって思いっきりラケット振ってみよう。

その時、ラケットを棒に当てるのではなく、肘の少し上あたりの上腕部をぶつけてほしい。

「そんなことしたら痛いじゃないか!」と思われるだろうが、素晴らしいスイングスピードを体感するためには仕方ないことなので少し我慢してほしい。

そうするとどうだろうか。

腕が棒に当たった後、肘から先の腕が「びゅっ!」と振られ、ラケットを「しゅぱっ!」と、自分では信じられないくらいのスピードで振り切ることができる。

自分が目いっぱいの力を使ってラケットを振った時の何倍ものスピード(ちょっと大げさかもしれないが、それくらいに感じる)でラケットを振ることができるはずだ。

まあ、実際にやってみると、腕の痛みのほうが強くて、そんなことを感じている余裕はないかもしれない。

実際にやるやらないは別としても(本当にやらないでくださいね)、腕を止めることでラケットを信じられないくらいのスピードで振ることができることは科学的に証明されている。

これを少し説明しよう。

投球動作における各部の速度を見ると、腰の前進が遅くなる時点から肩・肘が加速され、肩・肘の速度が遅くなると手首が急速に加速されていることが分かっている。

つまり、ラケットを速く振るためには、手首の関節を素早く振ることが大切で、そのためには腰、肩、肘の関節を順番に速度を落としながら、次の関節の速度を高めるように動かさなければならないということだ。

身体を「ムチ」のように動かすといえば分かりやすいだろうか。

特にラケットのスイングスピードを高めるためには、上腕を止めること(止めるように力を発揮すること)で、前腕を鋭く「振り切る」ことが重要である。

実際には難しいが(というか絶対無理である)、もし、実際に棒に腕をぶつけるようにして上腕のスピードを完全にゼロにできるのであれば、前腕はすごいスピードで振られ、ラケットをトッププロも顔負けのスピードで振ることができる。

その上で、ちゃんとインパクトとでラケット面をコントロールできるのであれば、あなたは間違いなく強くなる


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1 件のコメント:

  1. 体全体を使うとは左右の足と腕をどのように使うのでしょうか何も説明していません。身体をムチのように使うことはできません。絶対無理なことを書いてはだめでしょう。

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