2010年2月12日金曜日

読めばうまくなる?(1899)



今回からは、少しトレーニングや技術のことについて話を進めていくことにする。

この連載は、「強くなるための法則」を解き明かすことなので、ストロークの技術がどうのこうのと言う前に、「強くなるためのストローク」を打つにはどうしたら良いのかということを解明しておかなくてはならない。

よく市販の指導書には、「ストロークはこう打て!」みたいなことが書いてあるが、そのように打って、果たして良いボールが打てるのかについては、はなはだ疑問?である。

そもそも、そのように打てるかどうかも怪しいものだ。

しかし、ある指導者では、読者からの反響として、

「いやあ、この本を読んでその通りに打ってみたらすごいボールに伸びがでて、見違えるようなボールが打てるようになりました。」

「本を読んだだけで、今までとはまったく違うボールが打てるようになって、周りのみんなはびっくり!で、その秘密は何?としつこく聞かれますが、この本のことは内緒にしておくつもりです。」

「今まで試行錯誤で捜し求めていたものが、こんなに身近にあったなんて。なんて遠回りをしてきたのだろうかと、後悔ばかりが先にたちます。それほどの感動をこの本は与えてくれました。」

と、なにか怪しげな通信販売の広告のような文句が並んでいる。

そして、そのほとんどのコメントの最後には、

「ありがとう!私の一生の宝物にします!」

なんていうようなことが書いてあって、こっちまで照れくさくなってしまう。

確かに、本を読んで今までと違うやり方を試してみたときに、今までよりもスムースにスイングすることができて、何となくうまくなったような気がすることもあるし、実際にその瞬間にうまくなることはある。

以前、テニスがどのようにして上達していくのかについて解説したことがあるが、もう一度ここでおさらいしてみよう。

「テニスに限らず、スポーツはやればやっただけ成果がでるというものではない。まったくの初心者であれば別だが、ある程度のレベルに達した選手は、練習をやってもやってもうまくなれず、成績も伸びないことを経験するものだ。それでもあきらめずにがんばって練習し続けていると、あるとき何かのきっかけで、ふっと強くなる瞬間がある。これを私は「強さの降臨」と呼んだ。」

ということである。

その「何かのきっかけ」さえ与えれば、上達上昇ポイント(私が造った言葉であるが、上達のためのエネルギーが噴火する直前のマグマのようにその身体に蓄積されているような状態のことを言う)にいる選手が、このような本を読むことによってもすっと上達することは確かにある。

しかし、そんなことはそれほど多くはない。

まあ、どんなレベルの選手でも「これさえ読めば強くなる!」という本が出版されれば、爆発的に売れるはずだから、きっとお金持ちになれるに違いない。

でも、うたい文句どおりに売れていないところを見ると、やはりそれが真実とは思えないというのが私の感想である(決してひがみじゃありませんよ)。

この連載も、実はこのような「読めば強くなる!」ということを少しは(?)目指している。

単行本として出版されるとき、サブタイトルとして「読めば強くなる!」なんて文句を入れようかなとひそかに計画していたが、やはり躊躇した。

実際には、努力、努力が必要なわけで、それなくして強くなることはありえないというのが真実だ。

ただ、「どのように努力すれば良いのか?」、というヒントについて述べた本が今まであまり多くはなかったので、新しい試みとして、多くの方に役立つようなヒントを提供していこうと思っている。


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