
テニスの科学(67)
<余分なエネルギーを使わない?>
アイシングを行うことは、疲労回復などのコンディショニングの方法として効果的であることがわかりました。
では、なぜ効果があるのかを考えてみましょう。
筋肉には活動に最も適した筋温があることは知られています。
最高の能力を発揮する筋肉の温度(筋肉の表面温度)は27℃前後で、筋温が高くても低くてもパフォーマンスは下がってしまいます。
クールダウンはまさに熱くなった筋肉を冷ますことなのです。
筋肉が熱すぎると、代謝レベルがあがってしまいます。
ということは、余分なエネルギーを使ってしまうことになるのです。
テニスの試合は何日も続くし、1日に何試合も行う場合が少なくありません。
そのためには余分なエネルギーを使わずに、エネルギーをできるだけ温存しなければなりません。
氷水などをかけて早く筋温を下げて代謝レベルを下げることによって、余分なエネルギーを押さえることが大切なのです。
アイシングは筋の微細損傷による内出血も押さえることができます。
その結果、筋肉痛の予防にもなります。
筋の温度が著しく上がる激しい試合の場合には、チェンジコートで体を冷やすことは大変重要なコンディショニングなのです。
その場合に、せっかく体が温まっているのに冷やすことで逆効果になると言われる場合もありますが、実際にはインターバルでアイシングを行っても(テニスでいえばチェンジコートの度毎にアイシングを行うこと)、パフォーマンスには影響しないことがわかっています。
また、足首の捻挫などを繰り返したことのある部位については、痛みの有無にかかわらず、練習や試合後にアイシングをする習慣を身につけることが大切です。
私も気になる部位については必ずアイシングをするように指導しています。
よくあるケースとしては、足首、膝、足の付け根、腰などです。
その際、ケアのためのアイシングでは10~15分くらいが適当です。
その後ストレッチやジョギングを軽く行います。
腱や靭帯などを局所的に冷やす場合には氷のかけらなどを使ったアイスマッサージが効果的です。
アイシングのその他の効果として、暑い時期での試合において熱射病を予防するのにも役立つことがあげられます。
水分を補給するよりも、皮膚にかけることで筋肉の冷却効果が高いことは覚えておいてほしいと思います。

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