2009年7月28日火曜日

気迫を持って打つ(1701)



試合中にミスに気持ちを捉われたり、相手のプレッシャーを受けたときは、自分のプレーに自信が持てなくなり、迷います。

こういうときに、

「自分のプレーをする」、

「ボールに集中する」、

「思い切って攻める」

などと、こころに言い聞かせることも多いかと思いますが、日頃からの訓練が少ないと、そうした場面で本当に勇気を持って決断することは難しいものです。

これは性格にもよります。

大変攻撃的な子は、そうした場面でも勇気を持って攻撃しています。

しかし、そうでない子はやはり訓練が必要です。

特に「勇気」と「決断」が必要な場面は、以前のこの連載でも書きましたが、チャンスボールです。

ゲームポイントとか、マッチポイントでは大きな緊張が襲います。

ポイントが取れれば問題ありませんが、ミスをするととても大きくこころに残ります。

当然次のポイントを取る確率は下がります。

そうならないために、ミスをしても出来るだけこころに残らないような訓練をしなければなりません。

それは、チャンスボールの練習で「気迫」を持ってボールを打つことです。

意外とこれが出来ません。

「気迫」を表現することが出来ないのです。

多分、多くの子供はやっているつもりかもしれません。

しかし、私にはほとんど伝わってきません。

それは相手に対しても同じです。

人間は相手の打球する姿に「気迫」を感じると、たじろぐものです。

そうすると、ミスヒットした打球でも簡単にエースになります。

最高のショットを打たなくてもポイントを取る確率が上がるのであれば、できる限り利用したほうが得です。

では、どうすれば「気迫」を出すことができるのでしょうか。

方法は簡単です。

「声を出す」ことです。

どうしてもこのポイントがほしいとき、多くの一流選手はすごい「気迫」を見せます。

そのとき、めいっぱいの力と気持ちをボールにぶつけるために、大きな声を上げます。

それは、気持ちを奮い立たせるためにはどうしても必要な行為です。

「声を出す」ことには、ほかにも筋力を増大させる、身体の疲労を軽減させる、力の発揮をスムースにするなどの効果が科学的に検証されています。

いままで静かにチャンスボールを打つ練習をしてきたのなら、声を出して打ってみてください。

「声を出すのが恥ずかしい」、

「これでミスしたらかっこ悪い」

などと考えてしまう人は、ここ一番で絶対に力を発揮することはできません。

自分の気持ちを高め、最高のショットを打つために最高の努力をすることが自信あるプレーにつながることを忘れてはいけません。

素質はあるがいまいち成績の上がらない人は、このように自分の気持ちを高めることができないひとに多いのです。

そういう人は、すぐに自分に限界を設けます。

「自分はここまでで良い」、

「テニスは趣味だ」、

「それだけやっても意味はない」

などの言い訳をいつも探しています。

大変もったいない話ですが、その限界を打ち破るためには、自分を表現する力を身に付けることが大変有効です。

そして、そういう人も本心では「強くなりたい」、「勝ちたい」と強く思っています。

それを人に表現することを怖がったり、恥ずかしがったりしているだけなのです。

そのような気持ちは必ずコーチには伝わります。

そんなとき、

「もっと自分を変えて、テニスに賭ける思いを強く持って取り組まなければならない!」

と強い口調で言うこともあります。

そうすると、自分は十分にやっているのに、なぜコーチは認めてくれないのだと感情的になる場合もあります。

でも、本当のところは自分でもわかっています。

それを行動や言葉で伝えたり、表現しなければ認めてもらえないことは頭では理解しています。

表現することをためらって一歩進むことができないのです。

そんな子供たちに対して、私は「もう教えることは出来ない」と突き放すことがあります。

強くなるためにはどうしても越えなければならない壁があり、それを打ち破るためには、厳しい指導によって「強さ」を身に付けなくてはならないと考えるからです。

一方で、そうすることが子供を傷つけているのではないか、子供を苦しめているのではないか、単にやさしく接すれば良いではないかと思う葛藤もあります。

本当のところはどうすれば良いのかはわかりませんが、

「突き放す勇気を持てたときは、その子が成長するチャンスだ。」

と思うようにしています。

私は自分の「信念」に従って行動するしかないのです。

その子が成長するために必要であれば、ほかのクラブに変わることも厭いませんし、突き放した時に私に対して憎しみしか感じないようなら、それは私の接し方や取り組み方に問題がるので、それを見つめ直してよりより方法を探そうとします。

何が子供にとって必要なのか、どうすれば子供が成長するのかを真剣に考えて行動すること、それが「信念」です。

その「信念」が揺らぐことはありません。

私の「信念」が揺らげば、子供たちにメンタルタフネスを説くことは出来ません。

話が少しそれてしまったようですが、「声を出し」、「気迫」を持ってボールを打つ練習をしてほしいのです。

「気迫」のこもったプレーというのは難しいかもしれませんが、あなたが練習をしているときに、回りにいる友人やコーチが声をかけにくいような雰囲気を作り出すことが出来れば最高です。

意識してやり続けていれば雰囲気は作り出せます。

そのとき、きっと「生きた力強いボール」を打っていることでしょう。


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