テニスの科学(72)
<心が身体(からだ)を動かす>
私が実際にメンタル面の強化に取り組み始めたのは最近のことです。
それまでもメンタル面の強化プログラムが子供たちに必要であることは常に感じていました。
しかし、実際にはコートでの練習と身体的トレーニングをこなすのが精一杯で、そこまでの時間は取ることはできないという“言い訳”と、何を指導すれば良いのかという具体的な方法が見つからなかった(見つける努力を欠いていた)という理由で、真剣に取り組んではきませんでした。
しかし、ある大会で私の指導する子供の試合を見て、メンタル面の強化に真剣に取り組むようになったのです。
その選手は、大変熱心に練習やトレーニングに取り組み、比較的短期間で打つショットの威力は高まり、身体的な能力の向上が見られました。
全国大会の出場をかけたプレッシャーのかかる試合でしたが、私は安心して試合を見ていました。
簡単にリードを奪いましたが、6ゲーム目くらいでショットが続けてアウトになり、その後打つショットに対して自信を失いかけているようにも見えました。
それでもまだ安心はしていました。
しかし、ゲームがだんだんと拮抗してきて、ついにタイになったとき、まだ負けているわけではないのに、突然試合をあきらめたかのように凡ミスを連発し、敗れ去りました。
それまでの練習やトレーニングがまったく無駄になったと感じました。
その選手に何より必要だったのは、身体的トレーニングではなく、メンタル面のトレーニングだったのです。
なんとなく分かってはいました。
しかし、そのこと(メンタルトレーニングを指導すること)を避けて通ってきた自分に腹が立ち、
「私は今まで何を指導してきたのか!」
と自己嫌悪に陥るような強烈な経験でした。
そういう経験を通して「心が身体(からだ)を動かす」ということを改めて認識し、メンタル面の強化に真剣に取り組み始めたのです。
試行錯誤を繰り返し、より良いプログラムを作り上げることができれば良いと考えています。

メンタルといえば忘れられない試合があります。
返信削除大学4年最後のリーグ戦。
勝てば上位リーグへの昇格がかかった試合で、
僕らは登録オーダー(いわゆるシングルスやダブルスをどの順番にするか)を練りに練りました。個々の実力は互角で、組み合わせが試合結果を左右するのは間違いなかったからです。
そしてオーダーのルールを最大限生かして考えた結果、メンバー表を交換したところ、わが校の思い通りの組み合わせになったのです。
そしてその試合の結果は・・・負けました。
今にして思うと負けて当然だったと思うんです。
なぜならば、わが校は組み合わせが思い通りになった時点で、すでにみんな「勝った」気でいたんですね。そしてメンバーのほとんどが、絶対に「勝つ」という気持ちが薄れたんだと思います。ところが、相手チームはは最悪の組み合わせになったことで、一人一人が「負けられない」という心理状態になったんでしょうね。そんなチームが対戦すれば、力がそんなに離れていない限り、全員が「負けられない」と強い気持ちを持った方が勝つのは当然のことでしょう。
策に溺れるというのはこういうことなんだろうな、ということを痛感させられた試合でした。また、メンタルで勝負が左右するということを。
そういえば、僕らのインターハイ団体戦決勝も、相手が少し細工してきた記憶があります。個人戦次第でメンバーのランキングが決まるので、大島コーチと相手チームの僕らと同学年の方のK君の対戦とならないようにね。K君はコーチは完全に苦手にしてたから。
今にして思えば、その時点でわが校の団体戦優勝は決まっていたのかもしれないません。
え?優勝は俺の力だ?まあ、それは十分認めてますよ。(笑)
ぼっち君、久しぶりですね。
返信削除新しいレンズは買ったの?
そうねえ、団体優勝は今までの人生で最も大きな思い出には違いないですね。
勝つためにいろいろと策を練るのは悪いことではありませんが、どんな状況にあっても最善を尽くそうとする純粋な思いの方が大切だということです。
その思いがひとつになれば、持っている力以上の力が発揮されます。
そんな優勝だったと思います。
そして、多くの子どもたちに、そんなピュアな気持ちを持ってテニスを頑張ってほしいと思っています。