
テニスの科学(77)
<ミーティングをする>
多くの指導者はコート上での指導にほとんどの時間を費やす場合が多いと思います。
もちろん、技術練習だけではなく、折に触れて優れた選手として必要な資質について話をしたり、それを培うために必要な具体的なトレーニング法などについても話をする場合もあるでしょう。
しかし、コート上で話をするだけで本当に十分なのでしょうか。
子供たちに以前指導したことを確認してみると、意外と忘れていたり、再確認したことで、「はっ!」と気づいて次の練習からまったく違ったプレーが出来るようになることもしばしばあります。
自分が言ったことを子供たちがいつまでも覚えていると思うことは指導者のエゴだと思います。
子供たちには、正しいことをきちんと「記憶」してほしいのです。
子供たちには、「記憶する」とは単に脳の中に言葉を詰め込むのではなく、苦しい状況や混乱したときに、自分がやらなければならないことをコート上で表現できるように「身体に刻み込むこと」であると言い聞かせています。
そのためには何度も確認する作業が必要です。
私は、できるだけ多くの時間をとってミーティングをするようにしています。
ミーティングでは、様々なことを行います。
以下のような内容について何度となくミーティングを繰り返してきました。
◆目標を設定し、そのために自分が何をしなければいけないのかを決定する。
◆試合で自分の能力を最大限に発揮するための行動目標を決定する。
◆キーワード(※)を決めて、実践することの効果について学ぶ。
◆技術的な問題点をビデオなどで確認し、それを改善するための練習方法とトレーニング法について学ぶ。
◆試合において望ましくない状況について確認し、改善のための方法を学ぶ。
◆感情のコントロール法や思考転換の方法について学ぶ。
◆自己表現の訓練を行い、自分の気持ちを高める方法などについて学ぶ。
◆メンタルチェックを行い、自分のメンタル的な特徴を知り、対処法を学ぶ。
などです。
これ以外にも多くのことを指導してきました。
たまには自分の体験(失敗?)から学んだことを話して聞かせることも意図的に行っています。
このような内容の指導は、なかなかコート上では行いにくいものです。
レッスン以外の時間を費やすことになるので時間的な制限などがある場合は難しいかもしれませんが、試合の観戦時に同じような指導を行うことも可能だと考えています。
また、指導者は、カウンセラーとして必要な資質を身に付けておきたいものです。
そのためには子供たちとのかかわり方が大変重要で、子供たちのためにどれだけ時間を割くことができるのかが鍵となります。
(※) 良いときの動きを思い出せるように、良いときの動きと簡単な言葉を組み合わせておき、混乱しているときやうまくいかなくなっているときに、その言葉を繰り返す暗示技法。

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