2009年6月23日火曜日

間をおく(1666)



テニスの科学(84)

リズムやテンポが乱されると、人間は大変不快な感じをもちます。

また、こころの状態が乱されると、リズムやテンポが乱されます。

どう乱れるケースが多いのかというと、まずほとんどの場合はテンポが速くなります。

これはどうしてでしょうか。

自分のリズムを乱されると人間は不快感を持ちますが、できるだけそのような不快な状態から抜け出したいために、行動が早くなるのです。

ポイントを失ったときには、不安や恐怖は増大します。

その状況から早く抜け出したい気持ちが強くなればなるほど行動は早くなります。

相手のガッツポーズなどや冷静な集中力を感じると、その不安や恐怖はさらに深まります。

そのことで、自分のリズムやテンポを乱していくのですが、感情のほうが強いのでその時点での冷静な判断は狂っています。

客観的にみて行動がすごく早くなっている場合には、あせっているとか、混乱しているというふうに表現します。

そういうときには、どのように対処したら良いでしょうか。

最も良い方法は、「間をおく」ことです。

その時点では、冷静な判断が狂っています。

その気持ちを整理できないでプレーに入ると、全ての行動のリズムを崩して、再びおなじような失点を繰り返すと、もうパニックになって、プレーを継続することは難しくなります。

「間をおく」ことによって、心の状態に目を向けることに気づくチャンスは多くなります。

また、相手の集中力の持続を阻止する効果も期待できます。

相手もメンタル的にタフな選手でなければ、ポイントを取ったことで高揚しているだけで、早く次のポイントをとってしまいたいという焦りを持つような選手であれば、「間をおく」ことの効果は大変高いものになります。

しかし、ここで注意しなければいけないのは、「間をおく」ことは、あくまでも自分のためにするということです。

よく、相手をじらすように間をとる場面を見かけますが、相手の行動に左右されていては本当のメンタルタフネスを手に入れることはできません。

あくまでの、自分ために、自分がメンタルを最適の状態にするための工夫を全力で行うことが大切です。

心の状態を最高にするのではありません。

最適な状態とは、興奮するのでもなく、冷めているのでもなく、中庸といって、ちょうどバランスの良い状態を作り出すための工夫をすることが大切です。

そのためにも、自分が最も心地よく行うことができる行動のリズムをつかんで、そのリズムやテンポを変えないで試合に臨むように訓練することは良い選手の条件になります。

こころの状態が最適であれば、相手の隙を見つけて、自分の得意なショットを打ち込む機会は増えます。

相手は、そのことにプレッシャーを受けて、同じように打っているように思っても自分のリズムが崩されて、うまくショットが返せなくなってしまうのです。

自分のペースで試合を行うためには、このようにボールを打ち合うことにだけ目を向けるのではなく、試合全体、試合中全ての自分の行動を、自分がもっとも最適な状態で戦える状態を作るために行うことが、すなわち自分のペースを守ることなのです。



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